まさかの展開でクイーンの連絡先をゲットしてしまったA君。
いつもの仲間が集まっている学食には寄らず、この日はバイトに直行した。
彼のバイト先は学校から一駅の所にあるチェーン店のカフェだった。夕方5時から24時の閉店までが彼のシフトで、週4日程働いていた。このバイトを始めて約8ヶ月、すっかり職場にも打ち解け元からの真面目さと社交性を生かして遅番の中心人物になっていた。
いつもより早くバイト先に着いたA君は、事務所で津田さんの姿を見るなり今日の出来事を真っ先に相談することにした。津田さんはA君の3つ上の先輩で、A君にとって姐御的な存在として絶対の信頼を寄せている大学4年生だ。この津田さんにバイトに入った時からいろんな事を相談し、辛い時は一緒に飲みに行き愚痴を聞いてもらうこともしばしばだった。
A:「姐さん、おつかれっす!」
姐:「おお、おつかれー。今日早いじゃんか」
A:「そうっすね。今日は真っすぐ学校から来ましたからね。姐さんも早いじゃないですか」
姐:「あー、私も今日は真っすぐ来たからねー。」
A:「いやーそれはナイスタイミングですね!ちょっと聞いて欲しい事あるんすよね」
姐:「おっ!いいね。そりゃ当然あんた女の話なんでしょうね!」
A:「そうなんです。今日ちょっとした事件がありまして・・・」
姐:「そうじゃなくちゃね。じゃあバイト終わったら一杯行くか!」
A:「いいですよ。是非頼みます!」
姐:「よし、今宵は若者の青春話しを肴に美味い酒をいただきますかね」
そんな姐御との約束を交わし、シフトイン。その日は週末ということでいつもよりお客さんが多く、休憩も取れない状態だった。その日カウンターでドリンク担当だったA君はひたすらひたすらコーヒーを淹れ続けた。姐御もひたすらホールを回していた。A君が手際よくドリンクを作り姐御が華麗のホールをさばく。そう、二人はベストコンビネーションだった。
なんとか閉店を迎え、急いで片づけをし事務所に引き上げた。
ベテランの姐御も今日の忙しさにはさすがに疲れているようで、言葉数が少ない。やっぱり今日は飲みに行くのは無理かなーと思いつつ着替えを終えた姐御を見ると、飲む気満々の顔をしている。そういつもの酒に飢えた姐御の顔がそこにあった。ものすごく疲れた時、「もう帰ろうかな」となるタイプと「そんな時こそ飲み倒す」という2種類のタイムがいるが、姐御は間違いなく後者だ。
「それじゃ並の男じゃついていけませんぜ!姐御」
そんなことをひとりごちながら携帯を見る。
"着信メールがあります"
メールボックスを開くと、見慣れぬメールアドレスだった。
「今日は突然ごめんねー。バイトおつかれさま。そういえば何のバイトしてるんだっけ?今度教えてね!!そういえば今日私が教えたメールアドレスだけど、間違えて教えてたみたい。最近変えたから間違えちゃった><。だからこのアドレスで登録してね。あと、本当にテスト勉強教えて欲しいんだ・・・。でも迷惑じゃなかったらでいいからね。じゃあまた連絡するねー バイバイ!!」
A:「姐さん、キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
姐:「何?どうした若者!何が来たんだ?」
A:「メール来ました!おつかれさまとか書いてあるし!やべー」
姐:「おお、なるほど!それはつまり今日の酒の肴的なメールってことだな。」
A:「そうっす!これについてです。」
姐:「まあ落ち着きなよ。続きはやるき茶屋で聞くから。ほら、とっとと行くよ!」
A:「うっす。行きましょう!やるき茶屋。今日はじっくり座敷にしましょう」
やるき茶屋に入った二人は次々とジョッキを空け、早々に焼酎のボトルに突入していた。
そう、二人は相当な酒豪だ。
A君は飲みながらその日起こったことを姐さんに話した。クイーンと仲間うちから呼ばれる彼女のこと、そのクイーンから突然話しかけられたこと、連絡先をゲットしたこと、そしてさきほどメールが届いたこと、今度勉強を教えることになりそうなことなどなど・・・・
姐:「ふ〜ん、話しは分かった。んでさあんたはどうしたと思ってんのよ?」
A:「どうもこうも、とりあえず今度勉強を教えますよ」
姐:「そうじゃなくて、こういう状況になって、どう思ってるのかって聞いてんの!」
A:「どうって、そりゃ嬉しいっすよ。なんつったって難攻不落のクイーンですからね」
姐:「あっそ。あんたもそんなもんか」
A:「そんなもんかってどういうことっすか!」
姐:「あんたはそんな簡単な男なのかって言ってんのよ」
A:「なんすかその絡みは!!ははん、さてはこの私の状況に嫉妬してますね」
姐:「は?あんた、しまいには殺すよ。そんなちんけな話ししてないっつーの。」
A:「じゃあなんなんすか?だってこんなチャンスなくないですか」
姐:「だから、そこを言ってんの」
姐:「たまたま話しかけられて?メールアドレスを仕入れて?勉強教えて欲しいって言われて?そんでメールが来て?それでまんまと浮かれ切ってんじゃないって言ってのよバカもの!」
A:「バカものって・・・・」
姐:「そもそも、あんたその娘の何を知ってんの?話したの初めてなんでしょ?」
A:「そうっすよ」
姐:「つまり、向こうもあんたと話すのは初めてってことよね」
A:「そう、、、なりますかね」
姐:「つまり、向こうもあんたのことは何も知らないに等しい分けよね?そうよね?」
A:「そ、そう、、、なりますかね」
姐:「じゃあ逆に聞くけど、あんた話したこの無い女の子にいきなりテスト勉強教えて〜って言う?」
A:「いや、僕は言わないですね・・・」
姐:「それはなんで?」
A:「いきなりそんな事言えない・・・っていうか」
姐:「だろ!でもその娘はなんて言ってきた?」
A:「・・・勉強教えて欲しい・・・って」
姐:「そう!!!そこがポイントよ」
姐:「私が思うに、その娘相当なタマだと思うよ。したたかというか、図々しいというか、男の扱いに慣れてる」
姐:「あんた、一言だけ注意しとくけど、易々と入れ込むと痛い目に遭うわよ。絶対に」
約3時間の姐御との会合を終えたA君は、姐御の言葉を噛みしめつつも若さ故かクイーンとのこれからに期待を寄せている自分の方が大きいことに気付いていた。
続く。
taka34(www.taka34.com)のカラオケは、ある意味別次元だった。上手いとか下手とかを超越していた。
私はどうする?




